犯罪別相談

性犯罪

(1)痴漢や盗撮、公然わいせつ罪

ア 痴漢

概要

痴漢行為は、岡山県においては「岡山県迷惑行為防止条例」第3条違反となり、6月以下の懲役または50万円以下の罰金[智坪1.1]が科されます。ただし、痴漢の行為態様や程度(執拗さ、態様の悪質さなど)によっては、条例違反にとどまらず、より法定刑の重い刑法上の「不同意わいせつ罪」に該当する場合があり、重い刑事処分を受ける可能性があります。

具体例

会社員Xさんは、通勤途中の岡山県内を走行する電車内で、たまたま目の前で背を向けて立っていた女性の太ももを10分間にわたって触り続けました。 ⇒ このケースでは、Xさんが女性の太ももを触り続けていたことは明らかであり、「公共の場所又は公共の乗物において」「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような方法で」「衣服等の上から、又は直接人の身体に触れること」(岡山県迷惑行為防止条例第3条第1項第1号)に該当します。もっとも、行為態様によっては、刑法上の不同意わいせつ罪に該当することもあります。

弁護活動

• 依頼人に対する適切なアドバイスと冤罪防止: 痴漢行為をしていないにもかかわらず犯人に間違われてしまった場合、速やかに疑いをかけられた方のもとへ駆けつけ、痴漢冤罪を生み出さないよう的確なアドバイスを行います。捜査機関による無理な取調べや誘導に負けて嘘の自白をしてしまわないよう、早急に弁護士を選任して取調べへの対応について適切な助言を得ることが重要です。さらに痴漢事件では特に被害者の供述が重要な証拠とされるため、弁護士を通じて独自の捜査を行い、目撃者の証言や客観的証拠を積み上げ、被害者側の証言の信用性を弾劾して疑いを晴らす活動を行います。
• 示談交渉による不起訴処分の獲得: 実際に痴漢行為をしてしまった場合でも、検察官による不起訴処分を獲得できれば前科がつくことはありません。被害者との間で誠意をもって示談を成立させることは、検察官が起訴・不起訴を判断する上で極めて大きな影響を与えます。しかし、加害者ご本人やそのご家族が直接被害者と連絡を取り、示談交渉を行うことは極めて困難であり、検察や警察も被害者の連絡先を教えることはありません。当事務所の弁護士が間に入ることで、被害者の心情に配慮しながら迅速かつ円滑に示談交渉を進め、前科の回避を目指します。
• 早期の身体拘束からの解放: 痴漢事件で逮捕されてしまった場合でも、適切な取調べ対応と迅速な弁護活動を行うことによって、早期に身柄を解放できる可能性があります。早期に釈放されれば、会社への長期無断欠勤などを防ぎ、解雇などの社会的・経済的な不利益を回避できる可能性が高まります。弁護士のアドバイスのもと、検察官や裁判官に対して、被疑者が真摯に反省し、更生の意欲があること、家族などの身柄引受人がいることなどを強く主張することで、早期解放の実現可能性を高めます。

イ 公然わいせつ罪

概要

公然わいせつ罪(刑法第174条)は、不特定または多数の人が認識できる状態で、わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。「公然」とは、不特定または多数人が認識し得る状況をいい、実際に誰かに見られたかどうかは問われません。例えば、人が通行する可能性のある路上や公園でわいせつな行為に及んだ場合には、たとえ現実にはその場に通行人が全くいなかったとしても、公然性が認められます。「わいせつな行為」とは、健全な性秩序や性的風俗を害する行為一般をいい、その時代や社会における一般人の基準によって判断されます。 なお、法定刑は、6月以下の懲役若しくは30万円以下の罰金、または拘留若しくは科料です。

具体例

通常、全裸になるなど性器露出を伴う行為は公然わいせつ罪となりますが、脱衣所や公衆浴場などで着替えや体を拭く目的で裸になる行為は公然わいせつ罪には当たりません。 ⇒ 前者は不特定または多数の人が認識できる状態でわいせつな行為をした場合に該当するのに対して、後者は着替えや体を拭くことが想定された施設内で、限られた者しか出入りしない場所で行っているにすぎず、「公然わいせつ」には当たらないためです。

弁護活動

• 迅速な示談交渉: 実際に公然わいせつ事件を起こしてしまった場合、目撃者や通報者などに対して直ちに示談交渉へ動くことで、不起訴処分を獲得できる可能性が飛躍的に高まります。また、早期に示談を成立させることで、早期の職場復帰・社会復帰を図ることもできます。公然わいせつ事件で逮捕されるおそれがある場合や、実際に逮捕されてしまった場合には、早期に弁護士へ依頼し、迅速に示談をとりつけることが何よりも重要です。
• 勾留阻止による早期釈放: 公然わいせつ事件で逮捕されても、適切な取調べ対応と弁護活動によって、早い段階で留置場から出られる(釈放される)可能性が高まります。早く釈放されるためには、逮捕に続く「勾留」を阻止することが肝要です。逮捕後の早い段階で弁護士と面会して取調べ対応を協議し、弁護士から検察官や裁判官に対して、逃亡や証拠隠滅の危険がないことを主張し、釈放を働きかけます。

ウ 性的姿態等撮影罪(盗撮事件)

概要

これまで各都道府県の迷惑行為防止条例で処罰されていた盗撮行為は、法改正により新設された「性的姿態等撮影罪」(性的姿態を撮影する行為等の処罰及び押収物に記録された性的姿態の影像に係る電磁的記録の消去等に関する法律)によって、全国一律で厳しく処罰されることとなりました。
正当な理由がないのに、人が通常衣服をつけている状態で隠して撮影する行為(衣服内への差し入れ撮影、スカート内盗撮など)や、性的な部位・姿態を撮影する行為が対象となります。法定刑は、3年以下の懲役または300万円以下の罰金と、従来の条例違反に比べて非常に重くなっています。

弁護活動

• 早期の示談と画像の消去による証拠隠滅の疑い払拭: 盗撮事件を起こしてしまった場合、被害者の方との示談成立が不起訴処分を獲得する上で最も重要な要素となります。また、撮影してしまった画像やデータを速やかに消去し、復元不可能な形で処分することを誓約するなどの活動を通じて、証拠隠滅の危険がないことを検察官や裁判官に示し、早期の身柄解放を求めていきます。
• 治療や再発防止策の提示: 盗撮行為は依存性が高い側面があるため、単に反省文を提出するだけでなく、専門の医療機関を受診して治療を開始することや、再発防止策を具体的に講じていることを弁護士から捜査機関へアピールします。これにより、二度と繰り返さない環境が整っていることを伝え、不起訴処分や執行猶予の獲得へ繋げていきます。

(2)不同意わいせつ・不同意性交等

ア 不同意わいせつ罪

概要

刑法改正により、従来の「強制わいせつ罪」と「準強制わいせつ罪」が統合され、新たに「不同意わいせつ罪(刑法第176条)」が新設されました。
本罪は、16歳以上の者に対し、相手方が「同意しない意思を形成し、表明し、又は全うすることが困難な状態」にあることに乗じて、わいせつな行為をした場合に成立します。 「同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態」を招く原因として、法文上、以下の8つの類型が具体的に明示されています。

  1. 暴行若しくは脅迫を用いたこと
  2. 心身の障害を生じさせたこと
  3. アルコール若しくは薬物を摂取させたこと
  4. 睡眠その他の意識が明瞭でない状態に乗じたこと
  5. 同意しない意思を表明するいとまを与えなかったこと
  6. 予想と異なる事態に直面させて恐怖させ、若しくは驚愕させたこと
  7. 虐待による心理的反応に乗じたこと
  8. 社会的・経済的地位に基づく影響力による不利益を憂慮させたこと
    また、性交等同意年齢が「13歳未満」から「16歳未満」に引き上げられたため、16歳未満の者に対してわいせつな行為をした場合は、上記のような暴行・脅迫等の要件がなくても不同意わいせつ罪が成立します(※被害者が13歳以上16歳未満の場合、加害者が5歳以上年上である場合に限ります)。
    法定刑は、6月以上10年以下の拘禁刑です。
    不同意わいせつ事件においては、相手方の同意があったのかどうか、あるいは同意があると誤信していた(故意の阻却)という点が主な争点となりやすいです。
具体例

駅ビルの通路において、被害者(13歳)に対し、正面から抱きつくなどの暴行を加えた上、その唇に数回接吻(キス)し、その胸を数回もむなどした。 ⇒ このケースでは、16歳未満の被害者に対し、抱きつくという「暴行」を加えた上で、被害者の胸や唇にキスをするなどの「わいせつ」な行為を行っています。法改正後の基準においても、相手方の真摯な同意のないわいせつな行為であることは明らかであり、不同意わいせつ罪に該当します。

弁護活動

• 早急な示談活動と前科の回避: 被害者感情が重視される現在、直ちに示談交渉へ動くことで、警察などの介入を阻止(事件化の回避)できたり、不起訴処分により前科がつかなくなったりする可能性を高めることができます。仮に起訴され刑事裁判になってしまった場合でも、被害者との間で示談の成立や被害弁償を行うことで、執行猶予付き判決を獲得できる可能性が高まります。
• 早期の身柄解放を目指す: 不同意わいせつ罪で逮捕された場合、逮捕に続く「勾留」を阻止して釈放を勝ち取ることは容易ではありません。しかし、検察官に対して勾留請求をしないよう働きかけたり、裁判官に対して勾留決定を出さないよう意見書を提出したりする法的な弁護活動を早期に行うことで、早期釈放を目指します。また、示談を成立させることによって、釈放や起訴後の保釈の認められる可能性が極めて高くなり、早期の職場復帰・社会復帰の実現につながります。

イ 不同意性交等罪

概要

刑法改正により、従来の「強制性交等罪」と「準強制性交等罪」が統合され、新たに「不同意性交等罪(刑法第177条)」が新設されました。
本罪は、16歳以上の者に対し、相手方が「同意しない意思を形成し、表明し、又は全うすることが困難な状態(前述の8つの原因類型)」にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交(以下「性交等」といいます)を行った場合に成立します。
また、不同意わいせつ罪と同様に性交等同意年齢が引き上げられたため、16歳未満の者に対して性交等を行った場合は、暴行や脅迫などがなくても不同意性交等罪が成立します(※被害者が13歳以上16歳未満の場合、加害者が5歳以上年上である場合に限ります)。
法定刑は、5年以上の有期拘禁刑です。
また、不同意わいせつ罪や不同意性交等罪を犯し、よって人を負傷させ、又は死亡させた場合は、「不同意わいせつ致死傷罪」(無期または3年以上の拘禁刑)や「不同意性交等致死傷罪」(無期または6年以上の拘禁刑)が成立します。

具体例

Aさんは、夜間、河川敷を歩いていたXさん(女性、21歳大学生)の背後から突然羽交い締めにして近くの草むらへ連れ込み、Xさんの着衣をはがした上で性交した。 ⇒ このケースでは、Xさんが抵抗できないように羽交い締めにする「暴行」を用いて性交等を行っており、Xさんの「同意しない意思の形成・表明・全うが困難な状態」に乗じて性交等を行ったといえるため、不同意性交等罪が成立します。また、羽交い締めにされた際や性交されている最中にXさんが怪我をした場合は、不同意性交等致傷罪が成立します。

弁護活動

• 迅速な示談交渉による社会復帰への道: 不同意性交等罪やその致死傷罪は、極めて重大な犯罪として扱われます。そのため、刑事裁判になれば初犯であっても実刑判決を受ける可能性が非常に高い犯罪類型です。事件化を防ぐ、あるいは不起訴処分を獲得して前科を回避するためには、弁護士を介して直ちに示談交渉へ動くことが何よりも重要です。
• 執行猶予の獲得と早期の身柄解放: 仮に起訴されて裁判になった場合でも、早期に被害者との間で示談や被害弁償を行い、被害者の方から「許す(宥恕)」という意思表示を得られれば、刑務所への収監を避ける執行猶予付き判決を獲得できる可能性が出てきます。また、こうした示談活動を迅速に進めることで、勾留からの釈放や、起訴後の保釈請求が認められる可能性を高め、早期の職場復帰・社会復帰を図ります。

ウ 監護者性交等罪・監護者わいせつ罪

概要

監護者わいせつ罪、および監護者性交等罪(刑法第179条)は、18歳未満の者に対し、その者を現に監護する者(親や保護者など)であることによる影響力に乗じて、わいせつな行為や性交等をした場合に成立する犯罪です。
• 「現に監護する者」: 18歳未満の者を現に保護・監督し、実質的に面倒を見ている者を指します。実親や養親はもちろん、それ以外の同居人などであっても、生活全般にわたって監督・保護を行っている者が該当します。
• 「影響力に乗じて」: 経済的な依存関係や家庭内の上下関係などを背景に、被害者が拒否できない状態、あるいは受け入れざるを得ない心理的状況や影響力を利用して性的行為に及ぶことをいいます。
法改正により、これらの罪は不同意わいせつ罪や不同意性交等罪の例によって処罰されることとなりました。そのため、仮に被害者が表面上「承諾」しているように見えたとしても、それが監護者による心理的影響力に基づくものである限り、本罪の成立が否定されることはありません。

具体例

養女である14歳の被害者と同居して寝食の世話をしていた者が、被害者と性交をした。 ⇒ このケースでは、18歳未満の者を保護・監督する立場にある加害者が、その影響力に乗じて性交を行っているため、監護者性交等罪が成立します。

弁護活動

監護者による性犯罪は非常に重い犯罪類型であり、前科・前歴がない場合であっても、実刑判決となる可能性が極めて高いといえます。そのため、実際にこうした行為に及んでしまった場合には、直ちに被害者側との示談交渉を進めることが必要不可欠です。
しかし、家庭内や親族間での犯罪であることが多いため、被害者ご本人の処罰感情が強い場合が多く、さらに被害者が未成年者である場合は、親権者(もう一方の親など)との交渉が必要になるため、一般の方が示談を取りまとめることは極めて困難です。
当事務所では、これまで性犯罪事件において多くの示談を成立させ、実刑が予想された事案であっても執行猶予判決を獲得してきた実績が多数あります。単に形式的な示談を成立させるだけでなく、被害者側の心情に真摯に寄り添い、本人の深い反省を伝えることで、示談書に「寛大な処分を求める」旨の宥恕文言を入れていただけるよう、全力を尽くして交渉に努めます。

(3)ストーカー、DV、児童虐待

ア ストーカー

概要

ストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、「つきまとい等」「位置情報無承諾取得等」「電子メールの送信等」および「ストーカー行為」を規制しています。
「つきまとい等」とは、特定の者に対する恋愛感情その他の好意の感情、またはそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的で、当該特定の者やその家族、社会生活において密接な関係を有する者に対し、つきまとい、待ち伏せ、押し掛け、粗野・乱暴な言動、無言電話、連続したSNS・電子メールの送信、GPS機器等を用いた無承諾の位置情報取得などを行うことをいいます。
つきまとい等について、警察本部長等は、被害者の申出により、つきまとい等をした者がさらに反復して当該行為をするおそれがあると認める場合は、更なる行為をしてはならない旨の「警告」を行うことができます。 さらに公安委員会は、警告に従わない場合や被害者の生命・身体の安全が害されるおそれがある場合、①さらに反復して当該行為をしてはならないこと、②更なる行為を防止するために必要な事項を命じる「禁止命令等」を行うことができます。この禁止命令等に違反した者は、6月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金に処せられます。
「ストーカー行為」とは、同一の者に対し、つきまとい等を反復して行うことをいいます。ストーカー行為をした者は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。さらに、公安委員会による禁止命令等に違反してストーカー行為を行った者は、2年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金に処せられます。

具体例

AさんはXさん(23歳、女性)に振られたものの、Xさんのことを諦めきれず、毎夜、Xさんの自宅前で帰宅を待ち伏せしては、「また付き合ってくれないと毎日来るからな!」と言って立ち去っていました。Xさんは怖くなり、警察に相談したところ、警察はAさんに対して、これ以上Xさんに近づくことのないよう「警告」を発しました。それにもかかわらず、Aさんはそれに懲りることなく、Xさんの自宅へ押し掛けたり待ち伏せしたりすることを継続しました。 ⇒ このようなケースでは、警察の警告を無視してつきまとい等を反復しているため、ストーカー規制法違反に該当します。

弁護活動

昨今、ストーカー行為等の事件に対し、捜査機関は極めて厳しい対応を取る傾向にあります。かつては男女間の交際のもつれとして扱われていた事案であっても、相手方が連絡を拒絶しているにもかかわらず執拗に連絡を繰り返したような場合には、警察に逮捕されるケースが増加しています。
万が一、このような行為に及んでしまった場合には、早期に被害者への謝罪と示談の申し入れを行うことが必要不可欠です。ストーカー規制法違反の事件では、被害者との間で示談が成立し、今後は一切接触しないことやGPS機器の破棄などを誓約することで、不起訴処分を獲得できる可能性が非常に高くなります。
当事務所では、ストーカー規制法違反事件に対する不起訴処分の獲得実績も多数ございますので、一人で悩まずに、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでご相談ください。

イ DV(ドメスティック・バイオレンス)、児童虐待

概要
ⅰ DVについて

DVとは、「配偶者や恋人など親密な関係にある、あるいは過去に親密な関係にあった者から振るわれる暴力」をいいます。その具体的な定義はDV防止法(配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律)に規定されています。
DV防止法における「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力、またはこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいいます。 DV防止法は、法律上の夫婦だけでなく、事実婚の夫婦や、生活の本拠を共にする交際相手(同居中の恋人)、および離婚した元夫婦や同居を解消した元交際相手も対象となります。
DVにおける「暴力」は、殴る・蹴るといった身体的暴力だけでなく、精神的暴力、性的暴力、経済的暴力、社会的暴力などを含みます。また、DV防止法は暴力を受ける対象を女性に限定していないため、男性が被害者となるDV事案も対象となります。
• 身体的暴力: 殴る、蹴る、押す、物を投げる、髪の毛を引っ張る、凶器を突きつけるなど
• 性的暴力: セックスの強要、嫌がっているのにキスをする、避妊に協力しない、中絶を強要するなど
• 精神的暴力: 「バカ」「能無し」と罵倒する、大声で怒鳴る、無視を続ける、目の前で物を壊す、親族に危害を加えると言って脅すなど
• 社会的暴力: 友人や実家との交際を制限する、携帯電話や手紙を細かくチェックする、仕事を無理やり辞めさせるなど
• 経済的暴力: 収入があるのに生活費を渡さない、自由にお金を使わせないなど
DVの行為態様は、刑法上の暴行罪、傷害罪、脅迫罪、不同意わいせつ罪、殺人罪などの犯罪に該当するものから、刑法上の犯罪に該当するとまではいえないグレーゾーンのものまで多岐にわたります。DVが刑法上の犯罪にあたる場合は、被害者から警察へ被害届が提出されたり、刑事告訴されたりすることになります。
DV対策として、被害者は警察本部長等による援助(暴力の制止や被害防止交渉に関する助言、110番緊急通報登録システムへの登録等)を求めることができます。また、裁判所による「保護命令」制度があります。保護命令とは、被害者の生命・身体、あるいは生活の平穏を守るため、裁判所が被害者からの申立てに基づき、加害者に対して接近禁止や住居からの退去などを命じる裁判です。
保護命令には、被害者への接近禁止命令、退去命令のほか、法改正により「電話等禁止命令」の対象が拡大され、執拗な連続電話・メール・SNS送信に加え、GPS等による位置情報の無承諾取得の禁止なども含まれます。 この裁判所による保護命令に違反した者は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。

ⅱ 児童虐待について

児童虐待とは、保護者(親権者や監護者など)が、その監護する18歳未満の児童に対し、身体に外傷が生じる、あるいは生じるおそれのある暴行を加える行為などをいいます。児童を殴る・蹴る、わいせつな行為をする、育児放棄(ネグレクト)、著しい暴言・心理的虐待などが該当します。
児童虐待防止法自体には罰則規定がありませんが、虐待行為が刑法上の暴行罪、傷害罪、不同意わいせつ罪などに該当する場合、捜査機関によって厳しく検挙されることになります。

具体例

Xさんは夫であるEさんと同居していましたが、Eさんからことあるごとに「お前は能無しなんだから、家事くらいちゃんとしろ、アホ野郎」と怒鳴られ、時には髪の毛を引っ張られながら家の中を引きずり回されたりしました。 ⇒ これはDV(精神的DVおよび身体的DV)に該当します。Eさんの行為は刑法上の暴行罪や傷害罪、脅迫罪等に該当する可能性があります。

弁護活動

昨今、DVや児童虐待に対しては社会的な関心も高く、捜査機関も厳重に処罰する傾向にあります。かつては「夫婦喧嘩」や「家庭内の行き過ぎた躾」として見過ごされていたような行為であっても、通報によって警察に現行犯逮捕されるケースが急増しています。
「これくらいの暴力でなぜ逮捕されるのか」と思われるかもしれませんが、家族間であっても暴力は犯罪であり、逮捕・勾留によって長期間身柄を拘束される危険性があります。万が一、ご自身がDVや児童虐待にあたる行為をしてしまったかもしれない、あるいは警察から呼び出しを受けたという場合は、早急に弁護士にご相談ください。
夫婦間の暴力事件においては、弁護士を介して誠心誠意の謝罪を行い、早期に示談を成立させること、また今後は一切の暴力を振るわないための環境調整(別居の検討や専門機関への相談など)を行うことで、不起訴処分を獲得できる可能性があります。児童に対する虐待事案においては、子どもの心身への配慮や今後の生活環境の整備が重視されるため、家庭裁判所や児童相談所との連携も視野に入れた迅速かつ慎重な弁護活動を行います。
DV・児童虐待問題でお悩みの方は、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでご連絡ください。

(4)児童に対する犯罪(児童買春・児童ポルノ、青少年保護育成条例違反等)

ア 児童買春

概要

児童買春罪(児童ポルノ法第4条)は、18歳に満たない児童に対し、対償(金品など)を供与、またはその約束をして性交等(性交、肛門性交、口腔性交)を行った場合に成立する犯罪です。
性交等の相手方である被害者が複数に及ぶ場合や、性交等の最中に児童を撮影していた場合には、さらに重い罪に問われることになります。なお、金品を渡すなどの対償供与の約束がない場合であっても、後述の青少年保護育成条例違反に該当します。 児童買春罪の成立には、相手方が「18歳未満であること」を知っていたこと(知情性)が必要です。相手方の年齢について争いがある場合、弁護人はSNSでのやり取り、相手方の外見、当時の言動などを詳しく確認し、年齢を誤認していたと主張できる客観的な事実があるかを検討します。
法定刑は、5年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金です。

具体例

Xさん(54歳、男性)は、16歳の少女YさんとSNSで知り合い、Yさんが16歳であることを認識した上で、4万円の現金を渡す約束をして岡山県内のホテルで性行為を行いました。 ⇒ Yさんは18歳未満であるため「児童」に該当します。その児童に対して現金を渡すという「対償の供与」を約束して性交等を行っているため、児童買春罪が成立します。 なお、Xさんが性行為中にYさんの裸の写真などを撮影していた場合には、下記の児童ポルノ製造罪が併せて成立します。また、現金を渡す約束がなかった場合には、岡山県青少年保護育成条例違反が成立します。

弁護活動

児童買春罪は、捜査機関によって通常逮捕されるケースが非常に多い犯罪類型です。しかし、警察による捜査が及ぶ前に、弁護士同行のもとで自首を行った場合は、証拠隠滅や逃亡のおそれがないと判断されやすくなり、逮捕による身体拘束を回避できる(在宅事件として扱われる)可能性が高まります。
被疑者が逮捕・拘束されてしまった場合には、被疑者本人の誓約書や、同居する親族の身元引受書を提出するとともに、弁護士を介して被害者側との示談交渉を迅速に進めることで、勾留の阻止や早期の釈放を目指します。

イ 児童ポルノ

概要

児童ポルノ所持・提供等罪(児童ポルノ法第7条)は、自己の性的好奇心を満たす目的で児童ポルノを所持・提供・製造・譲渡しなどした場合に成立する犯罪です。
「児童ポルノ」とは、18歳未満の児童による性交等もしくは性交類似行為、または児童の性的な部位が露出され、もしくは強調される児童の姿態を、写真や電磁的記録(動画データ等)に描写したものをいいます。
児童ポルノを単純所持(自己の性的好奇心を満たす目的での所持)した者は、1年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処せられます。また、児童ポルノを提供した者は、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金に処せられます。

具体例

被疑者Aさんは、SNSで親しくなった少女Bさん(15歳)に裸の写真を送るよう要求し、Bさんは上半身裸の写真をスマートフォンで撮影してAさんに送信しました。 ⇒ Aさんは自己の性的好奇心を満たす目的で、児童の性的な部位が露出された画像をスマートフォン内に保存(所持)しているため、児童ポルノ所持罪が成立します。また、Bさんに自ら撮影させて送信させた行為は、児童ポルノ製造罪の処罰対象となる場合があります。

弁護活動

児童ポルノ事件で逮捕・勾留されてしまった場合、本人の誓約書や親族の身元引受書を裁判所へ提出するとともに、スマートフォンやパソコンなどの電子機器を捜査機関へ任意提出するなどして、これ以上の証拠隠滅の危険がないことを客観的にアピールし、早期の釈放を求めていきます。
また、相手方の年齢を知らなかった(知情性の欠如)と主張できる余地がある事案では、SNS上での当時のメッセージ履歴を精査し、18歳未満であることを認識していなかったことを捜査機関に対して論理的に主張します。

ウ 青少年保護育成条例・児童福祉法違反

概要

各都道府県では、青少年保護育成条例(岡山県においては「岡山県青少年保護育成条例」)を定めており、18歳未満の青少年との淫行(いんこう)を禁止・処罰しています。 「淫行」とは、青少年を誘惑、威迫、欺罔(あざむくこと)、困惑させるなど、その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性行為、または青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱う性行為をいいます。
また、児童福祉法(第34条第1項第6号)は、児童(18歳未満)に淫行させる行為を禁止しています。 「淫行させる行為」とは、児童に対して事実上の影響力を及ぼし、淫行を助長・促進させる行為をいいます。児童に売春をさせるような行為(三者関係)だけでなく、保護者や立場ある大人が自ら児童の相手となって性行為を行う場合(二者関係)であっても、児童福祉法違反が成立するとされています。 児童福祉法違反の法定刑は、10年以下の拘禁刑、若しくは300万円以下の罰金、またはその両方(併科)が科される非常に重い犯罪です。

具体例

Aさんは、SNSで知り合った17歳の女子高生Xさんと岡山県内のホテルで会う約束をし、ホテル前で合流してそのままホテル内で性行為を行いました。なお、AさんはXさんと真剣な交際関係(恋愛関係)にはなく、単に自己の性的欲求を満たすためにXさんを誘ったものでした。 ⇒ このケースでは、Aさんは18歳未満の青少年であるXさんを単に自己の性的欲求を満足させる対象として扱っているため、岡山県青少年保護育成条例違反に該当します。

弁護活動

児童福祉法違反や条例違反の容疑で逮捕・勾留されてしまった場合、まずはこれ以上の罪証隠滅の現実的な可能性がないことを主張し、ご本人の反省文や家族の身元引受書を提出して、身体拘束からの早期解放を求めていきます。
未成年者が被害者となる事件の示談交渉においては、被害者ご本人ではなく、その親権者(法定代理人であるご両親など)との交渉が原則となります。親権者側の処罰感情は極めて強いことが多いため、弁護士を介さずに示談を進めることはほぼ不可能です。当事務所の弁護士が丁寧かつ誠実に交渉を重ね、早期に示談を成立させることで、検察官による処分の大幅な軽減や、不起訴処分の獲得を目指します。
青少年保護育成条例違反や児童福祉法違反の事件に関与してしまった場合は、どうぞお早めに、弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでご連絡ください。

薬物事件

(1)覚せい剤取締法

(ア)概要

覚せい剤取締法における覚せい剤とは、フェニルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及びその塩類等のことをいいます。同法は、覚せい剤及び覚せい剤原料について、その輸入・輸出・譲渡・譲受・所持・使用を規制するものです。それらの違反行為を営利目的で行った場合には、営利目的でない場合と比べて法定刑が重くなっています。
覚せい剤の「所持」とは、覚せい剤を事実上自己の実力支配内に置くことをいい、必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあることをもって足りるとされています。
覚せい剤の「営利目的」とは、単に財産上の利益を得る目的をもってなされたことを意味し、一回限りのものでも差し支えなく、必ずしも反復継続的に利益を図るためになされることを要しないとされています。営利目的がない単純な所持や使用の法定刑は10年以下の拘禁刑ですが、営利目的で行った場合には1年以上の有期拘禁刑(情状により500万円以下の罰金が併科)となり、裁判官による実刑判決の可能性が大幅に高くなります。

(イ)具体例

Xは、長崎市内の知人に売る目的で、覚せい剤を所持していたところ、路上で警察官からの職務質問にあって現行犯逮捕された。このケースでは、Xは利益を得る目的(営利目的)で覚醒剤を事実上の実力支配内に置いていたため、覚せい剤取締法違反(営利目的所持)となります。

(ウ)弁護活動

営利目的所持の場合、法定刑が1年以上の有期拘禁刑となり、原則として正式な刑事裁判が開廷されます。覚せい剤事件の勾留率や起訴率は実務上きわめて高くなっており、証拠隠滅や薬物の廃棄を防ぐ観点から、被疑者段階における早期の身柄解放が難しい犯罪類型です。初犯であっても起訴されることが多いですが、営利目的のない単純所持や使用などの事案で、本人が深く反省し、前科・前歴がない場合には、執行猶予付き判決が付されるケースが多く見られます。覚せい剤事件では、否認の主張をする余地があるか、あるいは警察の捜査において違法に収集された証拠がないかなど、処分の見通しを見据えて慎重に方針を決定する必要があります。
一方で、事実を否認する場合も考えられます。具体的には、使用について全く身に覚えがない、第三者に無理やり打たれた、飲み物に入っていたのを知らずに飲んでしまったなど、様々な主張がなされることがあります。所持についての共同所持の事案では、一緒に住んでいる同居人の持ち物であり自分は家にあることを全く知らなかった、人から預かった鞄に入っていただけで中身が覚醒剤だとは知らなかったなどの状況が考えられます。そのほかにも、所持や使用の事実は認めるものの営利目的を否定するケースや、被疑事実は認めるが入手経路は報復などを恐れて言いたくないというケースもあります。このような場合、厳しい取調べの中で不当に重い内容の供述調書をとられることで、その後の裁判において極めて不利に働く恐れがあるため、供述調書を作成する際はあらかじめ弁護士のアドバイスを受け、慎重に対応する必要があります。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、早期の面会を通じて適切な取調べ対応のアドバイスを行うとともに、二度と薬物に依存しないための医療機関への受診や、ご家族による厳重な監督体制といった再発防止に向けた環境づくりを支援し、検察官や裁判官に対して粘り強く主張することで、1日でも早い社会復帰や執行猶予の獲得を目指します。

(2)大麻関連犯罪

(ア)概要

2024年12月12日施行の改正法により、大麻の不正な所持や譲渡、そしてこれまで処罰対象外であった「使用(施用)」などの規制は、大麻取締法から「麻薬及び向精神薬取締法」へと一本化・移行されました。
これにより、医療目的以外での大麻の単純な「使用」が新たに大麻使用罪として処罰の対象となりました。また、これに伴い罰則も全体的に厳罰化されています。
大麻に関する行為を「営利の目的」で行った場合には、営利目的でない場合と比べてさらに法定刑が重くなる点は、覚せい剤取締法と同様です。
・単純所持・使用(施用)・譲渡し・譲受け: 7年以下の拘禁刑(改正前は5年以下の拘禁刑でした)
・営利目的の所持・使用・譲渡し・譲受け: 1年以上20年以下の拘禁刑(情状により500万円以下の罰金が併科されます)

(イ)具体例

Aは大麻を岡山県内の知人に売る目的で所持していたところ、職務質問にあって現行犯逮捕された。 ⇒ かかるケースでは、利益を得る目的(営利目的)で大麻を事実上の実力支配内に置いていたため、麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的所持)となります。また、法改正により、自分で使用した場合であっても、同様に処罰されること(使用罪)となった点には十分な注意が必要です。

(ウ)弁護活動

ⅰ 不起訴処分又は無罪判決を獲得する

身に覚えがないにも関わらず薬物犯罪の容疑を掛けられた場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関及び裁判所に対して、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張する必要があります。特に、薬物事件においては、犯行当時に違法な薬物であることの認識(故意)があったのかどうかが重要なポイントになるため、大麻など薬物の存在自体に気づいていなかったことや違法薬物とは思わなかったことなどを客観的な証拠に基づいて主張していきます。また、アリバイや真犯人の存在を示す証拠を提出することも重要となるため、当事務所ではそうした証拠収集に全力を尽くします。

ⅱ 量刑が減軽されるよう弁護活動を行う

容疑の成立に争いがない場合には、大麻への依存性又は常習性がないこと、再犯の危険がないこと、(共犯事件の場合)従属的な立場であったことなどを裁判官に理解してもらい、量刑を軽減するような弁護活動を行っていきます。ご家族や周囲の方の理解と協力を得ながら、薬物関係者との接触を完全に断つ、専門の医療機関で治療を受けるなど、薬物犯罪に二度と手を染めないための具体的方策の実施と環境作りが、減刑及び執行猶予付き判決を獲得するうえで極めて重要となります。

ⅲ 違法収集証拠の排除を主張する

実際に事件を起こしている場合でも、職務質問、所持品検査、採尿・採血、捜索・差押え、逮捕、取り調べなどの捜査の過程で重大な違法行為があれば、違法収集証拠の排除を主張することで、不起訴処分又は無罪判決に向けた弁護活動を行っていきます。証拠を獲得するうえで捜査機関が踏んだ手続きの各過程に違法がないかを確認し、重大な違法な手続きがあれば、その手続きを経て獲得された証拠は裁判で証拠として認められない(違法収集証拠の排除)場合があります。また、薬物の量が極めて微量であったとか、他人の管理する場所や物の中から見つかったという事情がある場合であれば、所持の事実や所持の認識そのものを争い、不起訴処分又は無罪判決になるよう主張していきます。

(3)大麻以外の麻薬(コカイン、MDMAなど)に関する犯罪

(ア)概要

麻薬及び向精神薬取締法では、大麻のほかにモルヒネ、コカイン、ヘロイン、MDMAなどの輸入、輸出、製造、譲渡し、所持、使用等について厳しく規制しています。対象となる薬物の危険性や中毒性に応じて、違反行為に対する罰則(法定刑)が細かく分類されており、営利目的で行った場合には、営利目的でない場合と比べてさらに重い刑罰が科されます。

(イ)具体例

Aさんは、知人や特定のグループに転売して利益を得る目的で、海外からコカインを密輸入しました。 ⇒ このケースでは、利益を得る目的(営利目的)でコカインを輸入しているため、麻薬及び向精神薬取締法違反(営利目的輸入)に該当します。

(ウ)弁護活動

大麻以外の麻薬(コカインやMDMAなど)についても、基本的な弁護活動は上記(2)と同様になります。身に覚えがない場合には、違法性の認識(故意)がなかったことや違法収集証拠の排除を強く主張し、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。

(4)再犯防止への取り組み

薬物を乱用・常用すると、身体依存と精神依存という状態に陥ります。こうした薬物特有の強い依存性から、薬物事件は他の犯罪類型に比べて再犯率が非常に高くなっています。そのため、裁判所から執行猶予付き判決を得るための情状活動としてはもちろんのこと、被疑者・被告人ご本人のこれからの人生のためにも、再犯防止策を講じることは極めて重要です。
主な再犯防止策としては、以下のような取り組みが挙げられます。
・専門の医療機関での治療: 薬物依存症の専門外来を受診し、医学的なアプローチから回復を目指します。
・回復支援施設(ダルクなど)への参加: 自助グループに参加し、同じ悩みを抱える仲間とともに薬物に頼らない生活習慣を身につけます。
現在、身体拘束(勾留)されている被告人であっても、専門の医療機関に入院して治療を受けることを条件として、一時的に身柄を解放する「治療のための保釈」が認められる場合があります。そのため、弁護士がご本人やご家族、支援者の方々と綿密に協議を行い、早期の段階からこうした受け入れ先を確保する準備を進めます。

(5)当事務所の試み

薬物事案は常習性が極めて強い犯罪であり、前科のない初犯であれば執行猶予が付く可能性は高いものの、適切な対策を講じなければ社会復帰後に再び薬物に手を染めてしまう(再犯を起こしてしまう)危険性が常に伴います。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、早期の保釈請求などを行って身体拘束を解いた後、ご本人が真の意味で更生し、二度と再犯を行わないための方法をご家族とともに親身になって考えます。 このように、ご本人と二人三脚で更生に向けた具体的な努力(通院や自助グループへの参加など)を積み重ねていくことは、単なる再犯防止にとどまらず、裁判において「社会内での更生が可能である」と認められ、執行猶予判決を獲得するための強力な理由にもなります。
薬物問題から抜け出し、再び社会で自分らしい生活を取り戻すために、まずは当事務所岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

財産事件

(1)窃盗(万引き、侵入盗)

(ア)概要

窃盗罪(刑法第235条)は、他人の財物を盗む犯罪です。法定刑は、10年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。窃盗には、万引き、スリ、空き巣、車上狙いなどの類型があります。
窃盗罪は、他人が占有(事実上の支配)する財物を、その占有者の意思に反して自己または第三者の占有下に移す行為を指します。そのため、たとえ他人の財物であっても、その物に対する元の持ち主の「占有」が継続しているかどうかが、窃盗罪(刑法第235条)と占有離脱物横領罪(遺失物等横領罪・刑法第254条)の成否の分かれ道となります。
また、窃盗罪における「他人の財物」には、他人が持っている自分所有の物も含まれます。そのため、他人に貸した物がなかなか返ってこないからといって、貸した相手の家から勝手にその物を持ち出すと、相手の占有を侵害したとして窃盗罪で処罰されることがあります。
なお、窃盗罪の中でも、鍵を壊すなどして建物内に侵入して行う「侵入窃盗(空き巣など)」は特に悪質と判断されます。そのため、住居侵入罪(あるいは建造物侵入罪)と窃盗罪の両方が成立し、たとえ初犯であっても略式起訴による罰金刑ではなく、正式な刑事裁判(公判請求)を求められる可能性が高くなります。

(イ)具体例

Aさんは大型ショッピングモールで妻と買い物中に休憩したくなり、1階のベンチで休むことにしました。その間、妻は4階の婦人服売り場に行っており、Aさんは一人で休憩していました。すると妻から電話があり、「財布を忘れたから4階まで届けにきてくれないか」と頼まれたため、Aさんは急いで4階へ向かいました。その際、自分のバッグ(中にAさん自身の財布が入っている)を1階のベンチに置き忘れてしまいましたが、そのことには気づいていませんでした。妻に財布を届けた後、そのまま妻に同行して4階の紳士服売り場などで洋服を見ていました。1階のベンチから離れて40分が経過した頃、ベンチにバッグを忘れたことに気づいて即座に1階へ戻りましたが、すでにYがそのバッグを持ち去っていたため、ベンチの上にバッグはありませんでした。なお、このショッピングモールは4階から1階を見下ろせる構造にはなっておらず、Aさんが4階からベンチの様子をうかがう手段はありませんでした。
⇒ このケースでは、Yに窃盗罪は成立しません。 Aさんのバッグに対する「占有」が継続していたとは評価できないためです。Aさんはバッグを置き忘れてから40分間、場所的にも空間的にも離れた4階におり、バッグを直接監視することも、すぐに取り戻すこともできない状態にありました。 このように元の持ち主の占有が失われている状況においては、そのバッグは「占有を離れた他人の物」とみなされるため、これを持ち去ったYには、窃盗罪ではなく「占有離脱物横領罪(遺失物等横領罪)」が成立することになります。

(ウ)弁護活動

窃盗罪(または占有離脱物横領罪)の弁護活動においては、早期の示談成立によって不起訴処分の可能性を見出せるため、スピードが極めて重要になります。
・被害弁償と示談交渉の着手: 窃盗事件の成立に争いがない場合、弁護士を介して被害者への被害弁償と示談交渉を早急に進めることが最優先の課題です。被害届が正式に警察へ提出される前に示談を成立させることができれば、警察が介入することなく、前科をつけずに円滑に事件を解決できる可能性があります。
・身柄拘束の回避と早期釈放: すでに警察が介入している事件であっても、早期に被害者との示談が成立すれば、逮捕や勾留といった身体拘束を回避できる可能性が高まります。また、万が一逮捕されてしまった場合でも、示談が成立していることを検察官や裁判官に主張することで「勾留却下」を獲得し、早期の社会復帰・職場復帰を目指すことができます。
・不起訴処分(起訴猶予)の獲得: 窃盗事件においては、被害金額が比較的少額であり、かつ同種の前科・前歴がなければ、示談の成立によって検察官から「起訴猶予による不起訴処分」を獲得できる可能性が十分にあります。不起訴処分となれば、裁判を受ける必要はなく、前科がつくこともありません。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、迅速な示談交渉はもちろん、万が一逮捕された場合でも1日も早い身柄解放に向けて全力を尽くします。窃盗事件に関与してしまった場合は、どうぞお早めに当事務所岡山オフィスまでご連絡ください。

(2) 詐欺

(ア)概要

ⅰ 詐欺罪とは

詐欺罪(刑法第246条)は、人を欺いて(だまして)錯誤(勘違い)に陥らせ、その相手方の意思に基づいて財物を交付させたり、財産上の利益を得たりする犯罪です。欺く行為は、相手方の処分行為(現金を差し出す、口座から振り込むなどの行為)および財産的損害の発生に向けられている必要があります。 法定刑は、10年以下の拘禁刑です。

ⅱ 特殊詐欺とは

特殊詐欺とは、被害者に対面することなく電話やメールなどで信用させ、指定した場所に現金を送らせたり、直接受け取りに行ったりするなど、不特定多数の者から現金やキャッシュカード等をだまし取る犯罪をいいます。手口としては、オレオレ詐欺、還付金詐欺、架空料金請求詐欺などがあります。
特殊詐欺では、組織の末端である「受け子」や「出し子」として逮捕された方が、事件の全貌を知らず、「何らかの犯罪に関する行為(荷物の運搬やお金の引き出し)だとは思っていたが、詐欺だとは思っていなかった」と主張(故意の否認)するケースがよくあります。しかし昨今の裁判例では、詐欺を含む何らかの犯罪の可能性を認識していた(未必の故意があった)と容易に認定される傾向にあります。そのため、単に「詐欺だとは知らなかった」と主張するだけでは故意の否認が認められる可能性は低く、極めて慎重な弁護活動が必要となります。

(イ)具体例

自分の銀行口座に誤って大金が振り込まれている(誤振込み)ことに気づき、その事情を銀行の窓口担当者に告げることなく、正当な払戻し請求であるかのように装って窓口から現金を引き出す行為。
⇒ このケースでは、銀行側に対して誤振込みの事実を告知すべき義務があるにもかかわらず、それを隠して(不作為による欺罔行為)払戻しを請求し、銀行窓口の担当者を錯誤に陥らせ、その担当者の処分行為によって現金を引き出しています。これにより銀行に財産的損害が生じているため、詐欺罪(刑法第246条第1項)が成立します。

(ウ)弁護活動

ⅰ 被害者への被害弁償と示談交渉の着手

詐欺罪の成立に争いがない場合、弁護士を通じて被害者への被害弁償と示談交渉を早急に行うことが最優先の課題です。被害届が提出される前に示談を成立させることができれば、警察が介入することなく、前科をつけずに事件を解決できる可能性が高くなります。 すでに警察が介入している場合であっても、被害者との間で被害弁償と示談を成立させることで、逮捕・勾留といった身柄拘束を回避し、早期に職場復帰や社会復帰ができる可能性を高めることができます。被害総額が大きくなく同種の前科がなければ、示談の成立により「起訴猶予による不起訴処分」を目指すことも可能です。不起訴処分となれば、前科はつきません。

ⅱ 不起訴処分又は無罪判決を目指す活動

詐欺罪の成否においては、金品を受け取る「最初から」相手をだます意思(不法領得の意思・詐欺の故意)があったかどうかが極めて重要なポイントになります。 「最初は真摯に事業を進めるつもりだったが、結果的に資金繰りが悪化して返済できなくなった」というような事案であれば、刑事上の詐欺罪ではなく民事上の債務不履行にとどまります。弁護士は、相手方をだます意図がなかったことや、受け取った金品は返すつもりであったことなどを客観的な証拠に基づいて主張し、詐欺罪を立証する十分な証拠がないことを指摘することで、不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。

(3) 横領、背任

ア 横領罪

(ア)概要

横領罪(刑法第252条)は、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立する犯罪です。具体的には、自分が所持・管理している他人の物を、持ち主からの信頼に背いて、権限なく自分の物のように使用、消費、売却、処分などを行うことをいいます。
ここでいう「横領」とは、他人の物の占有者が、その物について委託の趣旨に背き、権限がないにもかかわらず所有者でなければできないような処分をする意思(不法領得の意思)を外部に表現するすべての行為を指します。 法定刑は、5年以下の拘禁刑です。
また、業務上横領罪(刑法第253条)は、業務として他人の物を管理・占有する者が、その物を横領する犯罪です。単純横領罪との違いは、行為者が「業務」として他人の物を占有する地位にあるか否かにあります。業務上の信頼関係を裏切る行為であるため、単純横領罪よりも悪質とみなされ、法定刑は10年以下の拘禁刑と重くなっています。

(イ)具体例

Aさんは、某スーパーマーケットの岡山支店長であるところ、自身が管理していた同店の売上金を内緒で個人的に着服しました。 ⇒ この場合、岡山支店長という立場であるAさんは、店舗の売上金を管理する業務上の権限を有しているため「自己が占有している」といえます。その売上金を正当な理由なく自分の懐に入れているため、業務上横領罪が成立します。

(ウ)弁護活動

身に覚えがないにもかかわらず横領罪や業務上横領罪の容疑をかけられた場合、弁護士を通じて、警察や検察などの捜査機関および裁判所に対し、不起訴処分または無罪判決の獲得を目指していきます。
特に、横領事件においては「不法領得の意思」の有無が犯罪成立の重要なポイントになります。例えば、金品を持ち出した行為が「自分勝手に使うため」ではなく、あくまで「より安全確実な場所に保管するため」であり、自分で使用する意思(領得の意思)は全くなかった、というような主張を客観的な証拠に基づいて行っていきます。また、真犯人の存在を示す証拠を提出したり、横領を立証する証拠が不十分であることを的確に指摘したりすることも極めて重要となります。

イ 背任罪

(ア)概要

背任罪(刑法第247条)は、他人のために事務を処理する者が、自己もしくは第三者の利益を図る目的(図利目的)、または本人に損害を加える目的(加害目的)で、その任務に背く行為(任務違背行為)をし、本人に財産上の損害を加えた場合に成立する犯罪です。
「任務に背く行為」とは、本人との間の信頼関係(信任関係)を裏切る、誠実な事務処理者としてやってはならない財産権侵害行為をいいます。 法定刑は、5年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です。
また、特別背任罪(会社法第960条)は、背任罪の加重類型であり、会社法上の取締役、執行役などの重要な地位にある者が、その地位を悪用して背任行為を行った場合に成立する犯罪です。法定刑は、10年以下の拘禁刑、若しくは1,000万円以下の罰金、またはこれらが併科(両方科されること)されます。

(イ)具体例

農業協同組合の組合長がその地位を濫用し、自己や第三者の個人的な利益を図る目的で、正当な手続きを経ずに組合名義で約束手形を振り出し、さらにその支払いを組合の預金口座から引き出して支払いました。 ⇒ 本来、組合長としての職務を誠実に行う義務があるにもかかわらず、その地位を悪用して本人(組合)に不利益な取引を行っているため、背任罪が成立します。

(ウ)弁護活動

弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、これまで業務上横領罪や背任罪などの財産に関する犯罪を多数解決してきた豊富な実績があります。
こうした財産事件の解決においては、捜査機関によって正確な被害額が特定される前に、弁護士が独自の調査で迅速に事実関係を整理し、被害者への被害弁償および示談交渉を早急に進めることが何よりも重要です。
仮に被害金額が高額にのぼる事案であっても、誠実な弁償計画を提示し、被害者との間で示談が成立すれば、警察への被害届の提出を思いとどまってもらい(事件化の回避)、そもそも刑事事件になることを防げるケースが多々あります。また、すでに事件化して警察の捜査が始まっている場合であっても、示談が成立することで、逮捕・勾留などの身柄拘束を回避したり、刑事裁判において執行猶予付き判決を獲得できる可能性が飛躍的に高まります。
業務上横領や背任などの問題でお悩みの方は、どうぞお一人で抱え込まずに、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでお気軽にご連絡ください。

暴力事件等

(1)傷害、傷害致死

(ア)概要

・暴行罪(刑法第208条)は、暴行を加えた者が人を傷害する(怪我をさせる)に至らなかったときに成立する犯罪です。「暴行」とは、人の身体に対する不法な物理力の行使をいいます。
・傷害罪(刑法第204条)は、人の身体を傷害した場合に成立する犯罪です。「傷害」とは、人の生理的機能に障害を生じさせること、または人の健康状態を不良に変更することをいいます。これには、殴って怪我をさせる行為だけでなく、嫌がらせによって相手を精神疾患に陥らせる行為なども含まれます。 法定刑は、15年以下の拘禁刑、または50万円以下の罰金です(刑法改正前の「10年以下」から現行法では15年以下に引き上げられています)。
・傷害致死罪(刑法第205条)は、殺意(殺人の故意)はなく、相手を怪我させる意図、または暴行を加える意図で行為に及んだ結果、相手を死亡させてしまった場合に成立する犯罪です。 法定刑は、3年以上の有期拘禁刑です。

(イ)具体例

Aさんは不仲のXさんと道端で遭遇し、Xさんが挑発してきたことをきっかけに、AさんはXさんに殴りかかりました。その結果、Xさんは足に全治2か月の捻挫を負いました。 ⇒ このケースでは、Aさんの不法な物理力の行使(暴行)により、Xさんが生理的機能の障害(怪我)を負っているため、傷害罪が成立します。

(ウ)弁護活動

ⅰ 犯罪不成立の主張(正当防衛、因果関係の否定)

身に覚えがないのに容疑をかけられている場合はもちろん、実際に手を上げてしまった場合であっても、相手方から先に危害を加えられ(あるいは加えられそうになり)、自分の身を守るための反撃としてやむを得ず暴行に及んだという事情があれば、正当防衛(刑法第36条第1項)を主張して不起訴処分や無罪判決の獲得を目指します。 また、自分の行った暴行の態様や加えた部位に照らして、「そこまでの大きな怪我が生じるはずがない」という場合には、自身の暴行と相手の怪我(傷害結果)との間に因果関係がないと主張することで、傷害罪の成立を回避する余地があります(この場合、因果関係の否定が認められれば暴行罪の限度で処罰されることになります)。 ただし、こうした主張は当事者間で意見が食い違うことが多いため、簡単には認められません。弁護士を介入させることで、目撃者の証言や防犯カメラの映像などの客観的証拠を収集し、正当防衛や因果関係の欠如が真実であることを捜査機関や裁判所に対して説得的に訴えていきます。

ⅱ 起訴前の示談による前科回避

傷害事件や暴行事件においては、検察官が起訴・不起訴の判断を下す前に、被害者との間で示談を成立させることが極めて重要です。 怪我の程度が重い場合、前科のない初犯の方であっても、示談をせずに放置すれば、正式な裁判(公判請求)によって実刑判決を受け、刑務所へ収監される危険性があります。暴力事件では、被害者への謝罪、治療費等の被害弁償、および示談の有無が処分に最も大きな影響を与えます。弁護士が迅速かつ丁寧な交渉を行うことで、不起訴処分(起訴猶予)を獲得し、前科がつくことを防ぐとともに、早期の釈放による職場復帰・社会復帰を目指します。

(2)脅迫

(ア)概要

脅迫罪(刑法第222条)は、他人の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知した場合に成立する犯罪です。また、これらを本人ではなく、本人の「親族」の生命、身体、自由、名誉または財産に対して加害告知した場合にも成立します。「脅迫」とは、一般人を基準として、相手を怖がらせる(畏怖させる)に足りる害悪の告知をいいます。相手方がこの害悪の告知を認識(見聞き)した時点で犯罪が成立し、相手方が現実に恐怖心を感じたかどうかまでは問いません。 法定刑は、2年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金です。

(イ)具体例

Aさんは、友人であるXさんに恋人を奪われたことに対して恨みを抱いていました。ある日怒りが頂点に達し、AさんはXさんに電話をかけて「お前の親を今から殺しに行く」と言って脅しました。 ⇒ Aさんは、Xさんの親族である「他人の生命に対し害を加える旨を告知」しているため、脅迫罪が成立します。

(ウ)弁護活動

脅迫罪の容疑をかけられた場合であっても、起訴される前に早急に被害者と示談を成立させることで、検察官から「起訴猶予による不起訴処分」を獲得できる可能性が極めて高くなります。
弁護士を介して、ご本人の真摯な反省文とともに「二度と相手に連絡をしない」「相手に近づかない」ことを誓約する示談書を交わし、被害者の許し(宥恕)を得ることで、前科をつけずに事件を解決できるよう全力を尽くします。

(3)器物損壊

(ア)概要

器物損壊罪(刑法第261条)は、他人の物を損壊し、または傷害(動物を傷つけること)した場合に成立する犯罪です。ここでいう「損壊」とは、物理的に物の全部または一部を損なうことだけでなく、物の本来の役割を果たせなくさせる(効用を減損させる)行為も含まれます。例えば、他人の所有物に勝手に落書きをする行為や、隠して使えなくする行為(隠匿)も「損壊」に当たります。 法定刑は、3年以下の拘禁刑、または30万円以下の罰金若しくは科料です。 なお、器物損壊罪は「親告罪(しんこくざい)」であり、被害者からの正式な「告訴」がなければ検察官は起訴することができません(刑法第264条)。 また、動物は法律上「物」として扱われるため、他人のペットなどを傷つけた場合には器物損壊罪が成立します(※別途、動物愛護管理法違反に問われることもあります)。

(イ)具体例

Aさんは、嫌がらせをする目的でXさんの車のボディーに故意に自己の尿をかけ、汚損させました。 ⇒ 直接的な物理的破損(車を傷つける、凹ませるなど)はしていませんが、尿をかけたことにより車を通常どおり使用できない状態にし、その物の財産的価値および効用を著しく低下させているため、「損壊」に該当し、器物損壊罪が成立します。

(ウ)弁護活動

器物損壊罪の最大のポイントは「親告罪」であるという点です。したがって、被害者に対して損害額を弁償し、示談を成立させて告訴を取り消してもらう(あるいは告訴を提出しないよう約束してもらう)ことで、100%確実に不起訴処分となり、前科がつくことを回避できます。
弁護士が迅速に被害者とコンタクトを取り、破損した物の修理代金や時価相当額を適正に評価して示談交渉を進め、告訴の回避・取り消しを目指します。

(4)当事務所での試み

暴行罪、傷害罪、脅迫罪、器物損壊罪などの暴力事件等は、当事者間の感情的な対立が深く、直接本人同士で示談交渉を行うことは火に油を注ぐことになりかねず、極めて困難です。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、豊富な刑事事件の解決実績に基づき、迅速に示談交渉を行います。これらの事件は、警察や検察などの捜査機関に発覚する前であっても、弁護士を介して示談(被害弁償および告訴状や被害届を提出しない旨の合意)を成立させることで、刑事事件化そのものを完全に防ぐことができます。
このような暴力事件等のトラブルに関与してしまったかもしれない、あるいはすでに警察から事情を聴かれているという方は、どうぞお一人で悩まずに、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでお気軽にご相談ください。

交通事件

(1)過失運転致死傷罪

(ア)概要

過失運転致死傷罪は、自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた場合に成立する犯罪です(自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律[以下、自動車運転処罰法]第5条本文)。ここでいう「自動車」には、普通自動車や大型自動車だけでなく、原動機付自転車(原付バイク)や自動二輪車(バイク)なども含まれます。
法定刑は、7年以下の拘禁刑若しくは禁錮、または100万円以下の罰金です。ただし、被害者の負傷の程度(傷害)が軽いときは、情状により刑を免除することができるとされています。 なお、無免許運転の状態で過失運転致死傷罪を犯した場合には、罰則が加重され、法定刑は10年以下の拘禁刑となります(自動車運転処罰法第6条第4項)。
過失運転致死傷罪における「過失」とは、自動車等を運転するにあたって守るべき安全運転義務や道路交通法等で課された注意義務に違反することをいいます。 例えば、前方をよく見ていなかったために事故を起こした(前方不注意)、赤信号を見落として交差点に進入した(信号無視)、一時停止の標識を無視して進行した(一時不停止)などの違反行為がある場合に過失が認められます。

(イ)在宅捜査と処分の見通し

過失運転致死傷事件において、被害者の怪我(負傷)の程度が軽微である場合、被疑者が逃亡したり証拠を隠滅したりするおそれが低いと判断されやすいため、逮捕などの身体拘束を受けず、日常生活を送りながら捜査が進む「在宅事件」となることが一般的です。また、負傷の程度がきわめて軽微であり、被害者との示談が成立している場合などには、起訴猶予による不起訴処分(前科がつかない処分)となることもあります。
一方で、自動車の運転者には法律上きわめて高い注意義務が課されているため、歩行者や自転車との事故において「自動車側の過失がゼロである」と完全に否定することは実務上容易ではありません。しかし、事故当時の道路状況やドライブレコーダーの映像などの客観的証拠を精査することで、過失の程度が限定的であったこと(被害者側の急な飛び出しなど)を主張し、処分を軽減する情状として争う余地は十分にあります。

(ウ)弁護活動

迅速な示談交渉

交通事件においては、ご自身が加入している任意保険会社を通じて被害者側への治療費の支払いや物損の弁償が進められます。しかし、刑事処分を軽減し、不起訴処分や執行猶予付き判決の獲得を目指すためには、保険会社による民事上の賠償手続きとは別に、弁護士を介して被疑者(加害者)本人からの真摯な謝罪の意を伝え、刑事処分についての許し(宥恕)を求める示談交渉を行うことが極めて効果的です。
過失の程度の精査と意見書の提出
警察の作成した実況見分調書の内容を詳細に確認し、事故当時にやむを得ない事情がなかったか、被害者側にも大きな交通違反や過失がなかったかなどを精査します。適切な過失割合や酌むべき事情をまとめた意見書を検察官や裁判所に提出することで、略式起訴(罰金刑)への切り替えや、量刑の減軽を求めていきます。

(2) 危険運転致死傷罪等

(ア)概要

危険運転致死傷罪は、自動車の運転行為のうち、類型的に極めて危険性が高いとされる態様によって、人を死傷させた場合に成立する犯罪です(自動車運転処罰法第2条)。 本罪は重大な交通犯罪として厳しく処罰され、法定刑は以下のとおり定められています。
人を負傷させた場合: 15年以下の拘禁刑
人を死亡させた場合: 1年以上の有期拘禁刑(最長で20年の拘禁刑が科されます)
危険運転として処罰の対象となる行為には、以下の類型などが挙げられます。

(イ)正常な運転に支障が生じるおそれがある状態での運転(自動車運転処罰法第3条)

アルコールや薬物の影響により、自動車の走行中に「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で運転し、その結果、実際に正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた場合も、危険運転致死傷罪に準じた重い処罰の対象となります。
人を負傷させた場合: 12年以下の拘禁刑
人を死亡させた場合: 15年以下の拘禁刑

(ウ)発覚免脱罪(自動車運転処罰法第4条)

アルコールや薬物の影響により、自動車の走行中に「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で自動車を運転し、運転上必要な注意を怠って人を死傷させた加害者が、事故後にさらにアルコールを摂取したり、その場から立ち去って時間を置いてから警察に出頭したりするなどして、アルコールや薬物の影響の有無・程度が発覚することを免れる行為(発覚免脱行為)をした場合に成立する犯罪です。
法定刑: 12年以下の拘禁刑

(エ)弁護活動

ⅰ 危険運転の該当性に関する主張と精査

危険運転致死傷罪は、過失運転致死傷罪(最高でも7年以下の拘禁刑)に比べて大幅に法定刑が重い犯罪です。そのため、検察官によって「危険運転」として起訴された場合であっても、事故当時の具体的な状況(速度、アルコールの摂取量、現場の道路環境など)を詳細に分析し、それが法律の定める「危険運転の要件(正常な運転が困難な状態など)」に真に該当するのかどうかを厳格に精査します。客観的な証拠に基づいて「危険運転ではなく、過失運転致死傷罪にとどまる」と法的に主張することで、不当に重い刑罰が科されるのを防ぐための活動を行います。

ⅱ 示談交渉と量刑の減軽活動

危険運転致死傷事件は、被害者やそのご遺族の処罰感情が極めて強く、初犯であっても正式な刑事裁判(公判請求)となり、実刑判決を受ける可能性が非常に高い犯罪類型です。そのため、弁護士を介して一刻も早く真摯な謝罪と被害弁償を行い、示談を成立させる、あるいは少しでも処罰感情を和らげていただけるよう粘り強く交渉を重ねることが、裁判における量刑を軽減し、執行猶予付き判決の獲得を目指す上で極めて重要になります。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、重大な交通事故を起こしてしまい、過酷な刑事処分の不安を抱えている方からのご相談をお受けしております。これまでの刑事事件の解決実績を活かし、適切な弁護活動を尽くしますので、まずは当事務所岡山オフィスまでご連絡ください。

(3) 道路交通法違反

道路交通法は、違反と結果の程度に応じて、10年以下の懲役から科料まで、幅広く罰則を定めています。人を死傷させた場合には自動車運転処罰法が適用され、人を死傷させていない場合には道路交通法等の違反に基づく責任が問題となります。
また、道路交通法違反の場合は、免許取消し・免許停止などの行政処分を受けることがあります。
さらに、物損や人身の被害が生じている場合は、損害賠償請求などの民事的な責任を負うことになります。

ア 無免許運転

無免許で自動車を運転した場合は、道路交通法違反となり、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪等の場合、無免許であったことは加重事由となり、同法違反の罪と併せて評価されることになります。
無免許運転の場合、身体拘束を受けることは比較的少ないですが、自動車運転免許による身元確認ができないこと等から、身体拘束を受けることもあります。初犯の場合には、略式命令による罰金となる可能性が高いです。無免許運転行為自体には、直接的な被害者はいないので、無免許運転に至るまでの経緯全般を通して反省をし、再犯防止に向けて、自動車の運転をしない生活環境の設備が重要となります。

イ 飲酒運転

(ア) 飲酒運転には、酒酔い運転と酒気帯び運転があります。
酒酔い運転とは、正常な動作や判断ができないおそれがある状態で運転した場合であり、法定刑は5年以下の懲役又は100万円以下の罰金となります。酒気帯び運転とは、呼気1リットル中のアルコール量が0.15ミリグラム以上の状態で運転した場合であり、法定刑は3年以下の懲役又は50万円以下の罰金となります。
また、人を死傷させた場合には、過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪等が適用される可能性もあります。

(イ) 行政処分については、酒酔い運転については免許取消し(欠格機関3年)、酒気帯び運転のうち、呼気1リットル中のアルコール量が0.25以上の場合は免許取消し(欠格期間2年)、0.25未満の場合は免許停止(90日間)となります。
このように、被疑者は、一定期間自動車の運転ができなくなります。そのため、免許停止にとどまる場合には一時的に自動車の運転をしないで済むような生活環境を整え、免許取消しになる場合には長期的に自動車の運転をしないで済むような生活環境を整える必要があります。

ウ 轢き逃げ

自動車で人を轢いて死傷させたときにその場から逃げた場合(轢逃げ事案)、被疑者は、救護義務違反及び報告義務違反に問われる可能性があります。
救護義務違反の法定刑は、事故が運転に起因する場合は10年以下の懲役又は100万円以下の罰金、事故が運転に起因しない場合は5年以下の懲役又は50万円以下の罰金になります。運転に起因しない場合とは、運転者が無過失の場合をいいます。
報告義務違反の法定刑は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金となります。また、事故により被害者を死傷させた場合、被害者に過失があれば、過失運転致死傷罪が成立することもあります。
轢逃げの事案においては、逃亡又は罪証隠滅のおそれがあるとして、身体拘束を受ける可能性が高いです。
また、救護義務違反の場合、被疑者は免許取消し(欠格期間3年以上)となるので、自動車を運転しない生活環境の整備も必要となります。

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