弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所では、少年事件の解決に力を入れております。
少年事件は、成人の刑事事件とは全く異なる視点での対応が必要です。少年の更生の機会をしっかりと整え、健全な育成を支えることが何よりも重要となります。
そのため、少年事件のご依頼を受けた場合には、少年の社会復帰と更生を支えるべく、親族との話し合いや、学校・職場との調整などの環境整備を迅速に行います。「少年が社会の中で十分に更生を図ることができる」という具体的な更生計画を家庭裁判所にしっかりと伝えることで、少年院送致などの重い処分を回避し、保護観察などの社会内処遇の獲得を目指します。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスでは、少年事件の解決実績が豊富な弁護士が在籍しており、岡山県において少年事件の専門家として、これまで多くの少年およびそのご家族をサポートしてまいりました。
「子供が警察に連れて行かれた」「事件を起こしてしまった」と悩んでいるご家族の方は、どうぞお一人で抱え込まず、まずは弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスへご連絡ください。
以下、少年事件の手続きや特色について分かりやすくご説明いたします。
少年事件とは
(1)少年事件の特色
ア 少年事件と一般の刑事事件との目的の違い
少年法において「少年」とは、20歳に満たない者をいいます。少年は成人に比べて精神的に未成熟であり、家庭環境や友人関係、学校での問題などが要因となって非行に走ってしまうケースが多く見られます。一方で、少年は人格の発展途上にあり、周囲からの適切な教育や働きかけによって短期間で立ち直る可能性(可塑性・かそせい)を秘めています。
このような特性を踏まえ、少年法は、少年の健全な育成を目的として、性格の矯正や環境調整に関する「保護処分」を行うことを基本原則としています。 すなわち、少年法は単に罪に対する処罰を与えるよりも、二度と非行を繰り返さないよう少年を教育・更生させることを重視しています。
※なお、2022年4月の民法改正(成人年齢の引き下げ)に伴い、少年法も改正されました。18歳・19歳の少年は「特定少年」と位置づけられ、17歳以下の少年とは異なる特則(起訴された場合の原則公開裁判、実名報道の解禁、家庭裁判所から検察官へ事件が送り返される『逆送』の対象事件の拡大など)が設けられています。
イ 全件送致主義
成人の刑事事件では、警察や検察の段階で、事件を裁判にかけない「微罪処分」や「起訴猶予(不起訴)」として事件を終結させることがあります。 しかし、少年の事件においては、捜査機関が犯罪の嫌疑があると判断したすべての事件を最終的に家庭裁判所へ送致しなければならない、というルールがあります。これを「全件送致主義」といいます。
たとえ軽微な事件であっても、裁判所(家庭裁判所)が関与し、少年の非行の原因や家庭環境を調査した上で、今後の処遇を決定することが原則とされています。
ウ 身体拘束に関する特則
身体拘束が少年の心身に与える悪影響や負担の大きさに配慮し、少年被疑者の身体拘束については、成人の刑事手続きとは異なる厳しい制限が設けられています。
① 勾留に代わる観護措置
検察官は、勾留請求に代えて、少年を家庭裁判所へ送致し、少年鑑別所などの施設に収容する「観護措置(勾留に代わる観護措置)」を請求することができます。
② 勾留の厳格な制限
検察官は、やむを得ない事情(逃亡や証拠隠滅の明白な恐れがあり、他の方法では防げない場合)がなければ、少年に対して勾留を請求することができません。
③ 少年鑑別所の活用
勾留が認められた場合であっても、警察の留置場ではなく、少年の健全な育成に配慮された「少年鑑別所」を勾留場所とすることができます。
このように、少年の身体拘束は法律上あくまで「例外的」なものとされています。しかし、実際には警察の留置場に長期間拘束されてしまうケースも少なくありません。逮捕後、検察官に勾留請求される可能性がある場合には、弁護士がいち早く動き、身体拘束の不当性を主張することで、早期の釈放を目指す活動が極めて重要となります。
(2) 審判対象となる少年
ア 触法少年について
(ア)概要と特色
触法少年(しょくほうしょうねん)とは、14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年のことです。 日本の刑法では、14歳に満たない者の行為は罰しない(刑事責任能力がない)と定められているため、14歳未満の少年が刑罰法令に触れる行為を行っても「犯罪」とはならず、警察による通常の捜査や逮捕・勾留をすることも、刑罰を科すこともできません。
低年齢の子どもが非行に至る背景には、虐待やいじめなどの家庭・学校の問題、あるいは精神疾患といった複雑な育成上の課題が隠れていることが多々あります。
そのため、触法少年については福祉的・教育的なアプローチが優先され、発見された場合は原則としてまず児童相談所へ通告されます。家庭裁判所が少年審判を行うことができるのは、児童福祉法上の措置として、都道府県知事または児童相談所長から家庭裁判所へ事件の送致を受けたときに限られます。
(イ)触法調査について
警察官は、客観的な事情から合理的に判断して、触法少年に該当すると疑うに足りる相当な理由がある者を発見し、必要があると認める場合には、その事件について事実の調査(触法調査)をすることができます。
この警察官による調査は、成人のような犯罪捜査とは異なり、あくまで「少年の情操の保護に配慮しつつ」行わなければならないとされています。
イ 虞犯少年について
(ア)虞犯事由とは
虞犯少年(ぐはんしょうねん)とは、現時点ではまだ犯罪や刑罰法令に触れる行為をしていないものの、その性格または環境に照らして、将来的に罪を犯す(または刑罰法令に触れる行為をする)おそれがある少年のことをいいます。
虞犯少年と判断されるにあたっては、以下の4つの事由(虞犯事由)のいずれかに該当することが必要です。
- 保護者の正当な監督に服しない性癖があること
- 正当な理由がなく家庭に寄り付かないこと(家出を繰り返すなど)
- 犯罪性のある人、もしくは不道徳な人と交際し、またはいかがわしい場所に出入りすること
- 自己または他人の徳性を害する行為をする性癖があること
これらは法律によって厳格に限定されており、これ以外の理由で虞犯とみなされることはありません。 成人の場合、こうした行為自体は処罰の対象にはなりません。しかし、少年法が虞犯少年について規定しているのは、犯罪行為にまで至っていない段階で早期に少年の問題傾向を発見し、適正な保護と教育的措置を加えることで、少年の健全な育成を図り、将来の犯罪発生を未然に防ぐことを目的としているためです。
(イ)虞犯事件の手続きと弁護活動
警察は、街頭補導や少年相談などをきっかけとして虞犯少年を発見した場合、任意調査として事実の調査(虞犯調査)を行うことができます。 警察は虞犯少年を認知した際、少年本人や保護者、参考人を呼び出して質問を行うことができます。調査の結果、少年の年齢や状況に応じて、児童相談所へ通告するか、家庭裁判所へ送致する手続きが取られます。
万が一、お子様が虞犯事由を疑われて警察から呼び出しを受けているような場合、弁護士は少年や保護者の代理人として警察の調査(面談等)への付き添いを行います。 警察による威圧的な質問や不当な誘導など、少年の健全な育成を阻害するような行き過ぎた調査が行われないよう目を光らせるとともに、家庭内や学校における環境改善に向けた具体的なサポートを行い、家庭裁判所への送致を回避して社会内で解決できるよう環境を整えます。
弁護人・付添人について
(1)弁護人
概要
家庭裁判所へ送致される前の「捜査段階(警察・検察段階)」においては、少年または少年と一定の関係にある者は、いつでも弁護人を選任することができます。
弁護人は、少年に対して違法・不当な捜査活動が行われないよう監視し、被疑事実を認めている事件においては被害者側との示談交渉を迅速に行うなど、被疑者である少年の権利や利益を守るために活動します。弁護人には、ご家族などが費用を負担して依頼する「私選弁護人」と、国が費用を負担する「国選弁護人」があります。
ア 被疑者の私選弁護人
私選弁護人を選任できる権利を持つのは、被疑者である少年本人、および少年の法定代理人(親権者など)、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹です。
少年は、保護者の意向にかかわらず自ら弁護人を選任することができ、逆に法定代理人(親など)も少年の意向にかかわらず自ら弁護人を選任することができます。
イ 被疑者の国選弁護人
捜査段階においては、少年事件も成人の刑事事件と同様に、特定の要件を満たせば「被疑者国選弁護人」が選任されます。
対象事件: 死刑、無期、または長期3年を超える拘禁刑にあたる事件であること
選任要件: 少年が貧困その他の事由により弁護人を選任できないこと(※少年の資力のみが基準となり、保護者の資力は考慮されません)
身体拘束の要件: 少年が逮捕に続いて「勾留」されている、あるいは「勾留に代わる観護措置」によって少年鑑別所に収容されている場合に選任が可能です。
(2)付添人
概要
少年事件が捜査機関から家庭裁判所へ送致されると、捜査段階における弁護人選任の効力は失われます。そのため、送致後は改めて「付添人(つけそいにん)」として選任される必要があります。
付添人は、成人の刑事裁判における弁護人と同様に、少年の権利を守りその主張を代弁する役割(弁護人的性格)を持ちます。さらに、少年保護事件の目的(少年の更生と健全な育成)が適正に実現されるよう、家庭裁判所に協力し、少年を援助する役割(協力者的性格)も併せ持っています。
すなわち、少年事件における付添人の活動は、審判(成人の裁判にあたるもの)の場での活動だけではありません。少年の家庭環境の調整、学校や職場との復帰に向けた話し合い、被害者との示談交渉の継続など、少年の周辺環境を整える「環境調整活動」を担います。この環境調整こそが、後の審判において少年の処分(少年院送致を回避し、保護観察などを目指すこと)を決定づける極めて重要な要素であり、付添人活動の核心であるといえます。
ア 私選付添人
少年および保護者は、家庭裁判所に事件が送致された後、いつでも付添人を選任することができます。本来、弁護士以外の者(親族など)を付添人に選任するには家庭裁判所の許可が必要ですが、弁護士を付添人に選任する場合には、家庭裁判所の許可は不要です。
イ 国選付添人
家庭裁判所送致後、少年が少年鑑別所に収容される「観護措置」をとられている場合、一定の重大な事件においては、本人の請求または家庭裁判所の職権により、国費で弁護士を付添人に選任する「国選付添人」の制度を利用することができます。
※2022年4月の少年法改正により、18歳・19歳の「特定少年」については、観護措置がとられている事件であって、通常の少年事件の国選対象事件(故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪など)に加え、家庭裁判所から検察官へ事件が送り返される「逆送」の対象となる事件(短期1年以上の拘禁刑にあたる罪など)についても、広く国選付添人の対象となりました。
少年事件の流れ

少年事件の対象
(1)少年の意味
少年事件の審判の対象となる少年は、20歳に満たない者です(少年法2条1項)。審判の対象となる少年は、「犯罪少年」「触法少年」「虞犯(ぐはん)少年」の3つの種類に分かれています。
なお、2022年4月の改正少年法施行により、18歳・19歳の少年は「特定少年」と位置づけられ、17歳以下の少年とは異なる特則(検察官送致となる対象事件の拡大、起訴された場合の原則公開裁判や実名報道の解禁など)が適用されることになりました。
(2)捜査段階
ア 少年事件の特色
犯罪少年の事件は、捜査段階では刑事訴訟法が適用されることから、成人と同じく、被疑者として警察に逮捕・勾留されることがあります。長期間の身体拘束が続いてしまうと、職場の解雇や学校の退学処分を受けるおそれがあり、少年の健全な社会復帰と更生にとって重大な悪影響を与えかねません。
このような少年に対する悪影響を抑えるため、少年法は、少年の勾留については成人の刑事手続きよりも厳しい条件(特別な規定)を定めており、少年に対する身体拘束を抑制しようとしています。
イ 勾留に対する対応
弁護人としては、勾留を避けるための活動をすることが重要です。具体的には、検察官に対して、勾留の要件を満たさない事情を記載した意見書を作成して提出します。意見書の添付書類としては、身元引受書、陳述書(家族、担任、職場の雇用主等)、誓約書(被害者と接触しない、逃走しない、罪証隠滅しない等)、謝罪文、反省文、示談書、嘆願書等があります。検察官が勾留請求をした場合には、裁判官に勾留請求を却下するように働きかけます。
上記の活動にもかかわらず勾留された場合には、弁護人としては、勾留が違法・不当であるとして、勾留に対する準抗告を行います。 なお、家庭裁判所送致後は付添人として、そのまま弁護士が活動するケースも多いため、弁護士は、検察官に対し、勾留延長の有無や家庭裁判所送致がいつかを確認するなど、家庭裁判所送致日に気をつけておく必要があります。送致日を把握し忘れた場合、家庭裁判所での尋問に対するアドバイスなどを少年に与えられる機会を喪失してしまいかねないからです。
ウ 取調べに対する対応
少年は精神的に未熟で、他人の意見に同調しやすく(被暗示性)、相手に合わせようとする傾向(迎合性)が高いため、取調べに対する抵抗力が成人以上に弱く、意に反する供述調書が作成される可能性が高いです。そのため、事案によっては、捜査機関に対して、取調べ状況の録音・録画をするように申し入れをすることも考えられます。
仮に、違法・不当な取調べが行われている(おそれがある)ときには、弁護人は書面その他の適宜の方法で捜査機関に対して抗議するなどして、即時にこれをやめさせるように努めるべきです。
エ 示談・被害弁償
少年事件においても、被害者のいる事件の場合、示談に向けた活動をすることが重要です。少年は自身に資力があることは少ないので、示談交渉を進めるにあたっては保護者等の協力が必要です。示談の直接的な目的は、被害者を慰藉し、被害感情を和らげるところにあります。 示談の成立は、早期の身体拘束からの解放にも繋がるので、早期に交渉に着手するのが望ましいです。
特に、近年は被害者への配慮が極めて重視されており、家庭裁判所の裁判官も被害弁償の有無・経緯には大きな関心を持っているというのが現状です。そうだからこそ、積極的に早い段階から、被害者との示談や被害弁償を試みることが重要となります。
さらに、示談をしたという報告をするだけにとどまらず、少年の反省の度合いや意識の変化、保護者の関与の度合い、示談成立に向けた努力の程度などについて、報告書をまとめて提出するなど、少年を少年院に送るべきではないことを裁判所に認識してもらいます。
一方、相手方の処罰感情が強く、示談がうまく成立しなかった場合でも、そこであきらめるのではなく、なぜ示談ができないのかということや、示談成立に向けてどのような努力を尽くしたのかということを裁判官に理解してもらうことが重要となります。単に示談の成否のみが考慮されるわけではないですから、被害者に対して対応する中で、少年がしっかりと内省を深めたことなどを主張していくこととなります。
(3)家庭裁判所送致
少年事件では、少年の被疑事件について捜査を遂げた結果、犯罪の嫌疑がある場合、および犯罪の嫌疑はなくとも家庭裁判所の審判に付すべき事由(虞犯事由)がある場合には、すべての事件が家庭裁判所に送致されます(全件送致主義)。
他方、犯罪の嫌疑がなく、虞犯少年にも該当しないときには、不起訴処分に付されます。そのうち、児童福祉法上の措置を必要とする少年(要保護少年)については、福祉事務所または児童相談所に通告されることになります。
(4)観護措置
ア 観護措置の概要
観護措置とは、家庭裁判所が調査・審判を行うために、少年の心情の安定を図りながら、その身柄を保全するとともに、緊急に少年の保護が必要である場合に、終局決定をするまでの間、少年を施設に収容して保護するための措置です。被疑者段階で逮捕または勾留されている少年が家庭裁判所に送致されると、家庭裁判所は、裁判所に到着したときから24時間以内に、観護措置をとるか否かを決定する必要があります。
観護措置は、「審判を行うため必要があるとき」(観護措置の必要性)にとられます。観護措置の必要性は、①身柄確保の必要性、②緊急保護のための暫定的身柄確保の必要性、③収容鑑別を実施する必要性がある場合に認められます。 観護措置の期間は、法律上は原則2週間とされていますが、ほとんどの事件で更新されるため、実務上は原則4週間といえる運用がなされています。
イ 付添人の活動
観護措置は4週間程度の長期間になることから、学生については退学処分、就労者については解雇の危険が高く、少年の更生を妨げる要因になります。そこで、付添人としては、観護措置の要否はもちろん、少年が被ることとなる不利益を考慮し、観護措置の回避に向けて積極的に活動するべきです。観護措置を回避する活動としては、保護者と面会を重ねて家庭環境を調整する、被害弁償や示談を進める、可能であれば学校や就労先との連携を図るなど、要保護性の解消に向けた環境調整活動を行う必要があります。
また、少年自身が改善更生する必要があるため、少年に内省を促し、自分が起こした事件や自分自身が抱える問題と向き合い、事件の原因や結果、被害者心情・状況などについて考えさせることも付添人の重要な任務です。そのためには、付添人が少年と信頼関係を築けていけるかで改善更生の度合いが顕著に変わります。
つまり、送致されてから、審判までの4週間のうちに上記のような膨大な量の活動をこなさないといけないため、付添人には厳格なスケジュール管理が求められ、短期間で少年をとりまく環境を整えていかなければならないため、勝負の期間であるといえます。だからこそ、弁護士の力量の差が如実に出る分野であるといえます。
なお、観護措置決定がなされた後に少年の身柄を確保(解放)する方法としては、①家庭裁判所に対し、観護措置の取消決定の職権発動を促す申出を行う方法、②観護措置が明らかに不当であるにもかかわらず保護措置の取消しが認められない場合に、観護措置に対する異議申立て(少年法17条の2第1項)を行う方法があります。
(5)審判準備
ア 少年事件の記録
付添人は、事件が家庭裁判所へ送致された後は、事件の記録と証拠を閲覧することができ、成人の刑事事件とは異なり、原則としてすべての資料を確認することができます。これらは「法律記録」と「社会記録」に分類されます。法律記録とは非行事実の有無を認定するために用いられるもので、各種捜査資料や関係者の供述調書、実況見分調書などがあります。一方、社会記録には、家庭裁判所調査官が調査の結果を報告する少年調査票、鑑別結果、学校などへの照会結果など、少年の処遇上参考となる資質や環境面に関する資料が含まれます。
付添人としては、家庭裁判所送致後、即座に担当書記官に連絡をとって法律記録および社会記録に関する書類を速やかに閲覧すべきです。これらを閲覧したうえで、少年の環境調整を円滑に進めることが可能となり、少年が非行に走った原因を突きとめ、根本的に少年に内省を促す語り掛けを行うことができるようになります。
当事務所岡山オフィスでは、以上のことを踏まえたうえで、即座なる書類の閲覧・謄写を行うことで、少年の真なる改善更生を図っていく所存です。
イ 意見書作成
少年事件では、成人の刑事事件と異なり、予断排除の原則や伝聞法則の適用がないため、裁判官は開廷前の段階で事前に法律記録および社会記録を精査し、非行事実の存否、要保護性の有無や程度などについて一定の心証を持ったうえで審判に臨みます。
そこで、当事務所としては、審判期日よりも前に少年にとって有利な証拠や環境改善の状況を記載した「意見書」を裁判官に適時提出し、審判前の裁判官の心証形成に働きかけます。 具体的には、意見書において非行事実について争いがある場合には、その事実が認められないということを証拠とともに論述し、非行事実に争いがない場合であっても、要保護性の解消(=社会内での更生が可能であること)について裁判官に強く訴えかけることで、不処分や保護観察処分を求めていきます。
(6)審判
少年事件における審判の対象は、非行事実および要保護性です。 非行事実は、成人の刑事裁判でいう「公訴事実」に該当するものです。犯罪少年や触法少年では、家裁送致にあたり検察官等が送致書に記載した非行事実と、これと同一性を有する事実を含みます。虞犯少年における非行事実は、虞犯性および虞犯事由に分けられます。
要保護性については、①犯罪的危険性(少年の性格や環境に照らして、将来再び非行に陥る危険性があること)を中心として、②矯正可能性(保護処分による矯正教育を施すことによって再非行の危険性を除去できる可能性)、および③保護相当性(保護処分による保護が最も有効でかつ適切な処遇であること)の3つの観点から判断されます。
少年審判では、少年の出席は義務で、付添人を立ち会わせることができます。保護者も呼び出されるのが原則ですが、中には呼び出しに応じないなど不協力な親もいるため、弁護士が事前に保護者との信頼関係をしっかりと構築しておくことが重要です。
また、少年審判は、「懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない」(少年法22条1項)とされており、刑事法廷と異なり、裁判官席は少年の目線と同じ高さになるように配置されるなど配慮されています。
そして、審判は職権主義的尋問構造がとられており、裁判官主導で以下の通り審理は進んでいきます。
- 人定質問・黙秘権告知: 氏名や生年月日の確認、言いたくないことは言わなくてよい旨の告知
- 非行事実の告知と少年・付添人の陳述聴取: 非行事実を伝え、少年や付添人の言い分を聞く
- 非行事実の審理(整理): 事実の有無を証拠に基づいて確認
- 要保護性の審理: 家庭環境、学校、少年の資質などについての審理
- 調査官、付添人からの処遇意見:調査官や付添人である弁護士が適切な処遇について述べる
- 決定の告知: 裁判官が最終的な処分(決定)を言い渡す
- 決定の趣旨説明、抗告権の告知: 決定の理由、不服申立て手続きの説明
これらの手続きを初めて体験する少年・保護者は多いため、付添人は開廷前に家庭裁判所内で少年や保護者と面会して上記手続きの説明や各過程でとるべき対応を伝えるとともに、緊張を和らげることに努めるべきです。
弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスは、以上のことを考慮に入れて、少年や保護者のため、適切親切な対応をとっていく所存です。
(7)処分
家庭裁判所に送致された少年については、家庭裁判所による調査を経た後、何らかの処分が決定されます。この決定には、少年の最終的な処分を決定する「終局決定」と、終局決定前に中間的な措置としてなされる「中間決定」があります。
ア 終局決定
(ア)審判不開始
審判不開始決定とは、家庭裁判所が調査の結果、審判に付することができず、または審判に付するのが相当でないと認めるときは、審判を開始しない旨の決定をすることをいいます。
審判に付することができないときは、①非行事実なし、②所在不明等、③その他(少年が20歳に達して審判条件が存在しないとき等)に分けられます。 審判に付するのが相当でないときは、審判に付すべき事由はあるが、少年の要保護性がすでに解消し、不処分、保護処分、児童福祉上の措置、刑事処分のいずれも必要なく、審判をする必要がない場合で、次の3つに分けられます。
① 保護的措置: 調査官による訓戒、教育的指導や、被害者の話を聞いて内省を求めるなどの保護的措置により、少年の要保護性がすでに解消した場合
② 別件保護中: 少年が他の事件ですでに処分されているので、本件では特に重ねて保護処分をする必要性がないと認める場合
③ 事案軽微: 非行事実が極めて軽微で、警察、家庭、学校等で適切な措置がとられたことで、すでに要保護性が解消し、再非行のおそれもなくなっている場合
審判不開始決定が少年に告知されることで、事件が終了します。
(イ)不処分
不処分決定とは、家庭裁判所が、審判の結果、保護処分に付することができず、または保護処分に付する必要がないと認めるときに、その旨の決定をすることをいいます。 保護処分に付することができず、または保護処分に付する必要がないと認めるとき(事由)は、審判不開始と同じ内容です。
不処分決定がなされると、事件は終局します。不処分決定に伴って、保護的措置や試験観察等の中間決定の効力は消滅します。
(ウ)保護処分
保護処分には、以下の3つの類型があります。
a. 保護観察 保護観察とは、少年を少年院などの施設に収容することなく、社会の中で普通の生活を続けさせながら、保護観察所の指導監督および補導援護という社会内処遇によって、少年の改善更生を図ることを目的として行う保護処分です。保護観察の対象となる少年は、①少年法24条1項1号の保護処分に付されている少年(保護観察処分少年)、②少年院から仮退院を許されている者(少年院仮退院者)です。 指導監督は、面接などの方法により少年と接触を保ってその行状を把握すること、少年がルール(遵守事項)を遵守して生活するよう指示すること、専門的プログラムを実施することなどによって行われます。補導援護は、少年が自立して生活できるよう、住居の確保、医療の受診、職業の確保などを支援することです。 保護観察の期間は、原則としてその少年が20歳に達するまで(その期間が2年未満の場合は2年間)です。もっとも、少年の更生が進んでいるときは、期間の途中で一時的に保護観察を解除したり、終了させたりすることができます。
b. 児童自立支援施設又は児童養護施設送致 児童自立支援施設は、不良行為を行い、または行うおそれのある児童、および家庭環境上の理由により生活指導を要する児童を入所(または通所)させ、その自立を支援する施設です。中学生前後の少年で、本人の非行性は進んでいないものの、保護者が育児放棄(ネグレクト)や虐待をしているなど、家庭環境に大きな問題がある場合に選択されます。 児童養護施設は、保護者のない児童や虐待されている児童を入所させて養護する施設ですが、非行性のある少年への矯正教育を行うことが難しいため、実務上、非行を理由に児童養護施設送致決定がなされるケースは極めて少ないです。
c. 少年院送致 少年院は、保護処分の執行を受ける者等を収容し、矯正教育や職業訓練、生活指導等を行う施設です。少年を強制的に施設に収容する保護処分であり、少年の自由を拘束する点で最も強力な処分です。 少年院送致決定は、原則として12歳以上20歳未満の少年に対して行われます。収容期間は原則として少年が20歳に達するまでです。少年院の種類は、以下の4つがあります。
第1種: 保護処分を受ける者であって、心身に著しい障害がない、おおむね12歳以上23歳未満の者を収容します。
第2種: 保護処分を受ける者であって、心身に著しい障害がなく、犯罪的傾向が進んだ、おおむね16歳以上23歳未満の者を収容します。
第3種: 保護処分を受ける者であって、心身に著しい障害がある、おおむね12歳以上26歳未満の者を収容します。
第4種: 少年院において刑(拘禁刑等)の執行を受ける者を収容します。
(エ)検察官送致
検察官送致決定は、家庭裁判所が、①調査あるいは審判の結果、本人が20歳以上であることが判明したとき(年齢超過)、または、②死刑、拘禁刑にあたる罪の事件について、その罪質および情状に照らして刑事処分相当と認めるときに、事件を検察官に送致する決定をいいます。いわゆる「逆送」といわれます。
逆送された場合、以後は成人の刑事手続きとほぼ同じく、みなし勾留(逆送後、家庭裁判所による観護措置が、裁判官のした勾留とみなされること)、起訴、公判、判決という手続きをたどります。
なお、18歳・19歳の「特定少年」については、原則逆送となる対象事件が拡大されており、強盗、不同意性交等などの短期1年以上の拘禁刑にあたる罪を犯した特定少年についても、原則として検察官送致(逆送)されることになっています。
(オ)知事又は児童相談所長送致
都道府県知事または児童相談所長送致は、家庭裁判所が調査の結果、児童福祉法の規定による措置を相当と認めるときに、事件の権限を有する都道府県知事または児童相談所長に送致する決定をいいます。決定の対象となるのは18歳未満の子どもであり、保護処分等にするよりも児童福祉機関による措置に委ねるのが適切と認められる場合になされる処分です。なお、実務上は、児童相談所長送致決定のみがなされています。
イ 中間決定(試験観察)
試験観察とは、保護処分を決定するために必要があると認めるときに、最終的な決定を出す以前に、少年を相当期間、家庭裁判所の調査官に観察させる中間処分です。試験観察には、①少年の自宅に戻って生活する「在宅試験観察」、②民間の篤志家(補導委託先)等の下で生活する「身柄付補導委託」、③自宅に戻りながら第三者の援助を受ける「在宅補導委託」があります。試験観察は、引き続き少年の様子を観察して適切な終局処分を判断するための資料を収集するとともに、少年の更生を促す環境調整活動をさらに進めるという意義もあります。
試験観察はいつでも取り消すことができ、取消決定によって効力が消滅し、終了します。担当調査官は、試験観察終了時に最終的な処遇に関する意見を出すことになっており、裁判所はその意見を参考に再度審判を行い、最終的な終局処分を決定します。
(8)抗告等
ア
家庭裁判所の保護処分決定(少年院送致など)に対する不服申立てとしては、抗告、再抗告、保護処分の取消しがあります。
抗告: 家庭裁判所の保護処分決定に対する、高等裁判所への不服申立てをいいます。
再抗告: 抗告裁判所(高等裁判所)の決定に対する、最高裁判所への不服申立てをいいます。
保護処分の取消し: 保護処分確定後に新たな証拠が見つかった場合などに、保護処分決定をした裁判所に対し、処分の取消しを求めるものです(刑事事件における再審に相当します)。
その他、観護措置決定の異議審決定に対する不服申立制度としての、最高裁判所への「特別抗告」も認められています。
イ
抗告を申し立てる理由(抗告理由)は、法律上以下の3つに限定されています。
① 決定に影響を及ぼすような「法令の違反」があること
② 重大な「事実の誤認」があること
③ 決定された処分が「著しく不当」であること(保護観察が相当であるのに少年院送致にされた場合など)
抗告権者は、少年、その法定代理人、および付添人である弁護士です。抗告の申立て期間は、決定の告知を受けた日の翌日から起算して2週間以内と定められています。
以上のように、少年手続きの概略について説明しましたが、少年の手続きは成人と異なり、複雑であり、また、少年事件特有の配慮が必要であることから、少年が事件に巻き込まれてしまった場合や逮捕されてしまった場合には、早期に弁護士に相談し、今後の対応について考えることが重要となります。
お子様が事件に関与してしまった場合には、すぐに弁護士法人山本・坪井綜合法律事務所岡山オフィスまでご連絡ください。